『歎異抄』に帰る

-新迷林遊林航海記

鬼子の目で見る日本社会

 

私たちはもっともっと悩まねばなりません。人類のさまざまな問題が私たちに圧(の)しかかってきているのです。安っぽい喜びと安心にひたるような信仰に逃避していることはできない。むしろそういう安っぽい信仰を打ち破っていくのが浄土真宗です。

安田理深

差別問題研修会に参加しました。講師はシンスゴさん、講題は「鬼子の目で見る日本社会 変わったこと、変わらなかったこと、変わらねばならないこと」

いま日本は権力に対して異議申し立てができなくなっている。
赤い鬼の子どもが涙をこぼして泣いています。「ぼくのおとうさんはももたろうというやつにころされました。」鬼は何か悪いことをしたのか。
猿、犬、キジは、鬼と団子一つで殺し合いをさせられましいた。鬼が島から持ち帰った宝物をわけてもらえることもなく。

私たちは、鬼か猿か犬かキジ、桃太郎になることなんてない。

 

講義の後、質疑応答があって、その後シンさんと懇親会があった。その時は泣かなかったけれど、家に帰ってわんわん泣いて遊林を驚かせた。質疑応答の時にもう何年も一緒に学んできたスタッフの一人が「在日三世の人が日本にいてそんなにいろいろ辛いのならなぜ韓国に帰らないのか。」と質問した。その質問に涙声で言葉をつまらせたスタッフがいて、シンさんは「何でもいいから聞いてください、知ろうとしてくれていると思っています。」といってくれていたけれど、私はその質問を自分のことに夢中で閉会の言葉の原稿を作っていて、聞き逃した、というか、きっと聞かないふりをしたのかもしれない。「なんてこというんだバカ」とさえいえなかった。そんな自分が悲しくて悲しくてわんわん泣いた夜だった。

開会の言葉で紹介された安田先生の言葉、

地獄の苦悩を背負って立ちあがることを信心という  

安田理深

閉会の言葉で言おうと思っていたこと、

シンさんには毎回、私が知らずに傷つけていることがたくさんあることを教えていただいています。知ることで自分自身が情けない悲しい存在であることがつきつけられますが、無関心で生きたくないと思います。