『歎異抄』に帰る

-新迷林遊林航海記

人は何かの役に立つために生まれてくるのじゃないのです

役に立たなくていいのです

人は何かの役に

立つために

生まれてくるのじゃ

ないのです

 

と、お寺の掲示板に書かれていた

 

私は娘になんと言っているかなぁ

つい、「社会の役に立つ人になるように」と、声をかけていなかったかしら

と、思って、うーんとなった

身につまされた、という感覚かもしれない

その言葉に出会う二日ほど前、甥に「あんたは優秀なお姉ちゃんたちと違って、私と一緒でバカなんだから、バカであることを自覚してちゃんと人の話を聞いて真面目に勉強しなだめねんぞ。」と、いったからでもある。

 

小学4年生の甥っ子の夏休みの宿題の一つに自主学習ノートがある。

なにやら二冊仕上げるようで、一冊は「バッチリ」、漢字を書いたり算数の問題を解いたりする。もう一冊は「ワクワク」、楽しく取り組むことを書く、たとえば絵など。

実はこの課題、「バッチリ」の方が、書くことを悩まない。

甥は早起きで、「早起きして、誰にも遊んでもらえなくて、暇な時間は宿題しなさい。」とかあさんに言われていた。私が二度寝して起きて、「宿題した?」と聞くと、いつも返事は「うん!」だった。「勉強しすぎで疲れた―」の時もあった。

が、ある時「ワクワク」がちっとも進んでいないことがかあさんにばれた。

タイミング悪く、他にも叱られることがあって、その晩、甥はボロボロ涙を流して、長い説教をされることになった。

 

お姉ちゃんたちは成績優秀で、彼だけがあまりよくない。

算数を教えてたお兄ちゃんがため息をついた。

 

「できないもの」になって

力を込めてがんばれ

と、竹中智秀先生に声をかけてもらったと、友人が話していたことを思う。

自分が「できるもの」だとたかをくくって、算数もゲームも教えてもらっても素直に聞けなくて、算数は正しい答えが出ないし、ゲームは課金して手に入れたレアなモンスターを即座に処分した。で、彼は叱られて涙を流した。

 

 

けれども、その言葉に出会ってから、

彼の良いところを伸ばしてあげたらいいんだろうなと思った

 

 

おじいちゃんは私を「大器晩成」といった。バカだといわずに

甥もよくいわれるそうだ

優秀な、何かの役に立つ人になるように、

ガツガツすることもないのかもしれない

 

 

あ、そういえば、

(私と妹が話しているのをさえぎって)

「ねえねえ、かあさん、あのさぁー、ぼくさぁー、とてもさぁー、」

といった彼に「ええい、いいたいことを早く言え!」と、怒鳴ったりしたな。

いやそれは、今思い起こしてもいじっかしい

どもならんな

一週間ほど里帰りしていた妹と姪甥たちが帰宅した。すっかり静かになって寂しくなった

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(ぷしゅー、ばーん、ばしゅー、やめろー、ばぁーん、・・・)