「宮沢賢治の鳥」
ちくちく
明日着る訪問着の、重ね衿をつけました。
中学の卒業式というのは、
小学三年生くらいからの集大成だ。
よくがんばったと思う。
わくわく。
かあさんは、地味に地味にみえるよう、気をつけたいのです。
帯も選ばないとなー。ふふ
さて今日は、図書館で一目惚れして注文した本が届きました。
うっとり、うっとり。
声に出して読みました。
(以下、絵本『宮沢賢治の鳥』より)
林の中がにわかにばさばさ羽の音がしたり、
くちばしのカチカチ鳴る音、低くごろごろつぶやく音なので、
いっぱいになりました。
天の川が大分大熊星がチカチカまたたき
それから東の山脈の上の空は
ぼおっと古めかしい黄金(きん)いろに明るくなりました。
童話「二十六夜」より
その時です。
にわかに天井に白い泡がたって、
青びかりのまるでぎらぎらする鉄砲弾のようなものが、
いきなり飛び込んで来ました。
兄さんの蟹ははっきりとその青いものの先が
コンパスのように黒く尖っているのも見ました
童話「やまなし」より
写真は【カワセミ】、ピントが合っていませんが(涙)
夜だかはまるで雲とすれすれになって、
音なく空を飛びまわりました。
それからにわかによだかは口を大きくひらいて、
はねをまっすぐ張って、
まるで矢のように空を横切りました
童話「よだかの星」より
するとかっこうはたいへんよろこんで
途中からかっこうかっこうかっこうとついて叫びました。
それももう一生けん命からだをまげていつまでも叫ぶのです。
童話「セロ弾きのゴーシュ」より
雪のたんぼのあぜみちを
ぞろぞろあるくカラスなり
雪の田んぼに身を折りて
二声鳴けるカラスなり
雪の田んぼに首を垂れ
雪をついばむカラスなり
雪の田んぼに首を上げ
あたり見まわすカラスなり
文語詩「烏百態」より
風はどうと吹きわたり、木はゴトンゴトンと鳴る。
賢治はは低い山にのぼり、草原を歩いていた。
朝からだれにも会っていない。賢治は時々立ち止まって、遠くの山の頂を眺め、光る雲に目を細め、さえずる鳥の声に耳をかたむけた。
賢治は野山を歩くのが好きだった。しょっちゅう山にのぼり、
草原を歩き、街道を歩いて、林の中をさまよった。歩く時は片手をポケットに入れ、もう片方の手を大きく振って歩いた。足がとても速かった。出かけるときはいつも首からシャープペンをつるし、上着の内ポケットに手帳を入れていた。腰にはいつも岩石をたたくハンマーを吊るしている。靴はダルマ靴だった。
必ず持った携帯食は、クッキーとチョコレートである。寝具は新聞紙だった。新聞紙は暖かく便利だ。大きな荷物は持たないようにしていた。野宿することが多い。松の木の下で横になったり、川原で寝たり、大きな岩のかげで眠ったりした。
たくさんの童話や詩は、そんな日々に、草原を吹く風や夜空にかがやく星の光からもらってきたものだ。