『歎異抄』に帰る

-新迷林遊林航海記

「勿忘(わすれな)の鐘」2017

みなさん、こんにちは、今日から永代祠堂経法会が始まります。

今年も、みなさんにお会いできることを楽しみに参りました。

 

今年は東日本大震災から6年、今日も2時46分に、「わすれなの鐘」をつきます。

 

はじめにこの、東本願寺から発行している「真宗」の言葉からお伝えします 

わすれなの鐘2017 こころをお寄せ下さい

決して忘れない この震災を心に刻み

犠牲者に思いを馳せ、今後とも復興と支援の思いをつなぐ

 

今年も「勿忘(わすれな)の鐘」の呼びかけをさせていただく季節となりました。

この取り組みの始まりは、大津波によって全壊となった岩手県陸前高田市の本稱寺からでした。震災後住職の佐々木隆道さんの「忘れないでほしい」との願いを受け、仙台教区では「この震災を心に刻み、犠牲者に思いを馳せ、今後も復興と支援の思いを繋いでいきたい」という願いのもと、土の中から発見された本稱寺の梵鐘とともに、全国各地、それぞれの場所で同じ時刻(3月11日午後2時46分)に鐘をつき、法要を勤める呼びかけをさせていただきました。

2012年3月から、その趣旨に賛同した全国のご寺院にて、この法要が勤められ続けております。

東日本大震災から6年が経過し、今年は7回忌にあたります。津波被災地でも早いところでは仮設住宅の解体が始まり、福島県では原発近隣市町村の区域解除が報道されています。しかし、未だ多くの方が仮設住宅での生活や避難生活を送る中、災害公営住宅設備の遅れ、震災孤独死、新たな生活の場でのコミュニティー形成はもとより、避難児童へいじめ、汚染、福島第一原発廃炉など、様々な問題や課題が生じております。

どうか、今一度、東日本大震災について考える、勿忘(わすれな)の鐘の衆会をお勤めいただくいただきたく存じます。          

 

後何分かいね。

私は毎年ここで、震災で苦しんでいる人のことが、問題にならないと吐露しておりますが、今年はどうしても聞いてほしいことがあります。

 

「福島の野菜は安全である。」

「被ばくは遺伝しない。」「人が死ぬほどの被ばくをしても、遺伝はしない。」

「子どもは産める。」

 

震災で苦しんでいる人のことが、問題にならない私とは逆に、「(自分は福島の人に対して)なにも役に立てなかった。」と今でも苦しみ続ける友人に出遇いました。

彼は、仕事で、福島県南相馬市飯舘村に行っていて、よく知っているのだそうです。「けれども、なんも役に立てなかったな。」と語ってくれました。

 

彼が、このことを私に伝えてくれたのは、私の友人の佐野さんが福島に野菜を送り続けていることがきっかけだったと思います。佐野さんが、野菜を送り続けるのは、福島では、今でも、県外の「汚染されていない」野菜を求めるお母さんたちがいることが知らされます。

 

私は、彼が勧めてくれた本、この『知ろうとすること』を、佐野さんに、伝えたいと思っています。この本は、糸井重里(コピーライター)という方と、早野龍五という

科学者(専門は原子核物理学)の方が書かれたものです。

 

 

知ろうとすること。 (新潮文庫)

知ろうとすること。 (新潮文庫)

 

 

 

その本に書いてあったことは、

 

今の時点で明らかなのは、さまざまな調査や測定の結果、起きてしまった事故の規模に対して、実際に人々がこうむった被ばく量はとても低かった、ということです。

とくに、内部被ばく(おもに食べ物や水によって、体内に放射線をとりこんでしまったことによる被ばく)に関しては、実際に測ってみたら当初想定したよりも、かなり軽いことがわかった。「もう食べ物については心配しなくていいよ」と言えるレベルです。

 

福島産の野菜や米は、他の産地のものと比べても、全然大丈夫と言える。

流通している食品に関しては、もう大丈夫。

 

福島の野菜や食べ物は安心。

被ばくは微量であること。

子どもは産めること。

 

そして、

「弱い力を出し続けていこう」

一人の力は小さい。

混乱した状態から、より真実に近い状態と思える方に向かって、手続きを踏んでいく

と、書かれていたことが印象的です。

 

それからこれは、友人が私に伝えてくれたことですが、

彼が質問をしました、「放射線被ばくは、遺伝に影響を与えるか。」

もたもた答えた私に、「放射線は細胞を壊すのではない。」「遺伝子を壊す。」でも、「遺伝はしない」「人が死ぬほどの被ばくをしても、遺伝はしない。」

「遺伝子が複製出来なくなり、血液や皮膚や粘膜が再生できなくなり、死にます。」でも、「これは、東海村の臨界事故のケース。」

 

それで私は、「被ばく労働をすると精子が死ぬ、と聞いたことがある。」といったのだけど、

「今の基準値以下の被ばく労働なら、それはない」、「たとえば、私がエックス線治療などを受けて、被ばくしたとします。そうなると、奇形の精子が一定数産まれることは明らかになっています。ただそういう精子は着床しない。」

 

そして私は、「×だから、遺伝しない、でも子どもも産まれない。」

彼は「違います。奇形の精子は誰にも一定数あります。遺伝子は常に壊れ続けていますから。正常な精子が着床するだけ。」

「被ばく労働者の精子が少ないとか奇形が多いとかの調査結果は、私の知る限りはない。だから遺伝はしない。」「子どもは産める。」

と話してくれました。

 

これは、本当に声を大にして伝えなければならないなと思いました。

最近さかんにニュースで福島から来た転校生がいじめを受けたことがたくさんあると、

取り上げられています。これから結婚の差別が起こってくると私は思っています。

放射線の被ばくにより、遺伝子がおかしくなっている、子どもが産めない人とは付き合わない、結婚しない、という変な考え方で、苦しむ人がでてくると予想しています。

 

9日のNHKで、福島の食べ物、それから、福島のもの自体が、「放射能がついている」「取引した私に悪影響がある」と取引をしなくなり、廃業・倒産した企業があることを伝えていました。

 

たぶん私が、今日この話をするだろうと思っておられた方がいらっしゃるかもしれません。

 

福島第一原発事故福島県から横浜市自主避難した中学1年生の男子生徒がいじめを受け、不登校になった問題で、生徒の保護者は8日、生徒が現在の心境をつづった手記と、小学6年生の時に書いた手記を公開した。参考:朝日新聞社

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

中略

 

いじめは大人の問題です。大人が子どもに、卑劣な価値観を植え付ける。

 

今朝、中学校時代の友人とラインで言葉を交わしていまして、

昨日は中学の卒業式で、お互い同じ年の子どもがいるので、

彼女と一緒に撮った写真を送って、

「今日は東日本大震災の日、お説教がんばってきます。」「震災避難いじめのこと話す予定」

と、メッセージしたら、

「私のうがった見方かもしれないけれど、親や祖父母とか大人の責任でもあるんじゃないか。」

と、彼女が書いたので、「大人の問題だと思います。」と返事をしました。

 

続けて、私は、

「なんでわが子が、意地悪になるようなことを親が言うのか、ちょっとわからん。娘には人に対して優しくなって欲しい。」と書きました。

 

 

私が、がんばって声をかけたのは、ほんの数十人の人です。

そして、たとえみんなが、言われ無きいじめをしても、(いわれがあったらいじめをしてもいいともいいませんが、)私一人は意地悪をしないと、

強くそう思っていました。

そんなことが、実は人間が生きる態度として、本当に大切なのでないかなと、

子どもを持つ親として思っています。