『歎異抄』に帰る

-新迷林遊林航海記

乃東枯(なつかれくさかるる)6/22-6/26あたり

6/22から7/6日頃は夏至(げし)といって、一年でいちばん日が長く、夜がみじかくなる頃。
乃東枯(なつかれくさかるる)とは夏枯草が枯れる、ということで、冬至の頃に芽を出したウツボグサが枯れてくる頃。色鮮やかな夏の花々が開く時期に、枯れていく花に思いを寄せた古人の優しさを感じる言葉です。
参考:二十四節気と七十二候|暦生活
報恩講の覚え書き
初逮夜 助音1名 法中2名 式事、講師 計5名
中日 助音3名 法中10名 式事、講師 計15名
満座 助音2名 法中7名 式事、講師 計11名
お菓子30人前注文、一つ足らず。今年はお二人欠席だったので来年は5人前増やして注文せねばならん。
報恩講の少し前、組の追弔会があった。登高座が行なわれ、阿弥陀経を読んだ。先輩たちは阿弥陀経を配るタイミングもいただくことも開くこともばっちりしっかり揃っていた。権威的だと、差別的だと申してやめる前に一人前に出来るようになりたいと思う。やってきた方々の思いを今一度深く考えて、変えねばならぬならその手続きをするべきであろう。
報恩講の儀式は美しい。下にいる人がいなければ成り立たない、差別的な構造を持っていることは感じていながら、それを差別ではなく役割として勤められているのだとある方にうかがって同感した。そうやって大切にしてきたことがある。誰かの痛みは伴うのだろうが、今、当寺が登高座を止めたら、参りに来て下さるたくさんのご門徒はどう思うだろうか。「私の寺の報恩講だから」と有縁の方を誘って、一万、あるいは一万五千円という大金をあげてくれている。儀式にお金を払っているのではないけれど、儀式があっての報恩講だと思う。布教使の方が「お坊さんたちはみなさんすーっと本堂から退室されるけれども控室ではむぁーっと汗まみれになった衣を着替えていらっしゃいました。」と暴露していた。お内陣は浄土の荘厳。「あれが浄土であるはずがない、あんなに差別的な浄土が。」という意見もあるけれど、「一年で一番大切なお勤め」を今の形以外で表現するにはどうすればよいのか。それは、古人、先輩たちがやってきたことを私自身きちんとできるようになってから考えたい。面倒だから、細かいことがいちいち難しいからという理由では絶対止めたくない。
もう15年くらい前のことになるが、女性はそれまで外陣(下の段)で、直綴(黒い衣)に五條袈裟で勤めていたが、ある住職が前住職に睨まれながら私に内陣の余間に座るようおっしゃった。裳附でなければ失礼な気がして、次の年からは裳附を用意して座った。今日のように女性に巡讃が当たって、住職の代理としてお勤めができるのはその方のご苦労があってのこと。それから数年の後、そのお寺の報恩講のお勤めは内陣でしなくなった。助音も裳附をつけた法中も外陣勤め。その意味は、従来の内陣で勤める儀式に違和感があるからなのだと思う。その御住職は当たれば八淘の結讃の巡讃もきちんと出来る。結讃というのは、報恩講の満座(最後のお勤め)の最後のご和讃「如来大悲の恩徳は」で、通常は三淘、あーあーあ、と三回のばす、当寺の報恩講では五淘、あーあーあーあーあ、と五回のばす、八淘は八回のばすのだけど、高テクニックで、高音で、途中で「声を出しすぎて気を失ったか?」と思うほど間をおいたりする。私はやったことがないし、当たることもないと思う。八淘は金沢別院報恩講で勤められている。その住職がご健在のうちに当寺も外陣勤めにしようかと少し思ったが、いろいろ考えたけれど、まだその時ではない。

今年は「字指(じさし)」を作った(作ってもらった)。報恩講の巡讃で使う物で、しおりの役目をする。本当は下が開くようになっていて勤める和讃のところに挟むのだけど、作るのに手間がかかり、今回は「竹のしおり」である。でも花弁(はなびら)よりはかっこいいはず。字指は2本で900円くらいでネットにあったが、竹藪に住んでいるのだから作りたい。(作ってもらいたい。)
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数年前、供笥(くげ)のお華束(けそく)を作った(作ってもらった)。買うと一つ一万以上する。いや三万以上だったかもしれない。毎年少しずつ要るものが揃っていく。次は式台の幕を作りたい、15万円から25万円程度。葬儀の後、満中陰を勤め、一年以内に祠堂をあげていただいている。ちなみに催促したことは一度もない。祠堂をあげる方は、「なんだかわからないけど親父が、母親がそうしていたから。」といって大金を寺に納める。祠堂の意味やかけられてきた願いを伝えるのが私の役目。その祠堂のお金で寺にいるものを買い揃えたり修理したりしている。こういう寺の備品を什物(じゅうもつ)というのだと思う。
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これも報恩講でしか使わない、今年新調した、式台の花器、日本製3000円。馴染みの花屋さんが値引きしてくれました。いいやろ。
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報恩講の中日は単衣の着物を着ました。帯は夏帯を付け帯にしたもの。「素敵やわ~着手がいいから~!」と褒め上手な方が多くてすっかり乗せられておりました。内心暑かったぁ~
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着物:色無地/格子地紋/水色/東レ素材使用/18430円
帯:付け帯/絽/正絹/2200円
帯揚:夏物/オフホワイト地/480円 帯締:大津市無形文化財三代藤三郎紐/白/520円